クルマ好きならフェリーを選ぶ

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車好きが旅するとき、旅先でのレンタカーは欠かせない。移動手段としてはもちろんだが、車を運転して走ること自体が大きな楽しみなので、車での旅を選ぶという方も少なくないだろう。 私の体験からすれば、出張や休暇で何度か北海道に行ったとき、レンタカーで北の大地を走っているうちに、次こそは、自分の車で旅してみたいとの欲求を抑えることができなくなった。北海道だけでなく、九州、四国、いや全国、どこへ行っても同じ想いになるのだが...。

その時、私の脳裏に膨らんでいった"妄想" は、現代の路上で普段は何かと窮屈な思いで走ることが多いヒストリックカーとともに海峡を渡り、オーバーヒートなど、日頃の"持病" を心配せずに、青空の下を思うままに走っている車と私の情景であった。なかなか、実行に移すことができなかったが、友人に強く背中を押されたこともあり、思い切ってとある夏休みに決行してみることにした。

陸路、関東地方から北海道まで高速道路を走って行くのは、休暇の時間も限られているうえに、人はともかく、車が消耗する(ヒストリックカーだから!)ことはあきらかなので、迷わずフェリーを使うことにした。調べてみると、本州から北海道に行く航路には複数の選択肢があることがわかり、その中から私が選んだのは、太平洋フェリーが運航する仙台発・苫小牧の便だった。仙台港なら都内からでも無理のない距離であり、夕方(18時過ぎに)に積み込み、20時前に港を離れ、翌日11時に苫小牧港に到着するというスケジュールが、都合よかった。 車だけ専門の陸送業者に送ってもらい、自分は飛行機で飛んでいくという方法もあるだろうが、車と移動ができるという過程もまた、醍醐味のひとつだと思った。それに車と一緒なら、面倒な荷物のパッキングもしないですむというのも楽だ。

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フェリーボートに乗った経験は、東京湾横断航路を何度かだけで、こうした長いクルーズは初めてであり、それも大きな楽しみであった。車の積み込みは、誘導スタッフが的確に指示を出してくれるので、至って簡単にすむ。私が初めてフェリーで北海道に向かったときには、ヒストリックカーをトラックに搭載していたが、"素人トラックドライバー" でも、あっけなく済んだ。

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フェリーに乗ってさえしまえば、あとは快適な船旅を満喫するだけだ。私と仲間たちは、広い船内の様子を見学したあと大浴場に向かい、港から離れる船上の湯船から対岸を眺めるという、非日常的な旅に心が踊った。レストランに繰り出し、ディナーを楽しんだ後は、地図を広げ(こうした時は大判の紙の地図のほうが高揚する?)、明日から始めるヒストリックカーの旅に思いを馳せ、長い時間をそこで過ごし、夜遅くなってベッドに潜り込んだ。

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果たして、初夏にわたった北の大地はどこまでも広く、空は青く澄み渡り、ヒストリックカーを思う存分、走らせることができた。もちろん、ヒストリックカーではなくとも、現代の車にとってもフェリーの旅は快適だ。旅の途中、何度も関東や関西のナンバーを着けた車とすれ違い、時には、車と旅の話が華咲いた。それ以降、夏休みにはそれが習慣になったかと周囲が呆れるほど足繁く通うようになった。帰りの道中にもう次の計画を立てる、そうした心持ちになっていたものである。

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私がフェリーの旅をしてから暫くの時が経ち、フェリーボート自体もかなり進化し、豪華クルージングシップになっている。たとえば愛車とともに、最新フェリーで夏の北海道でのヒストリックカーラリーに参戦する、想像するだけでも心が浮きたつ光景ではないだろうか。

太平洋フェリー予約センター
TEL:052-582-8611
[平日]9:00 ~ 19:00、[土日祝]9:00 ~ 18:00
※年中無休(年末年始除く)
公式サイト:http://www.taiheiyo-ferry.co.jp

文:伊東和彦(Mobi-curators Labo.)

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